ミュニークの風防兼ゴトク「X-MESH STOVE」が良かったので、
この風防兼ゴトクと組み合わせているアルコールストーブ、trangiaの「アルコールバーナーTR-B25」を見直しています。
trangia「アルコールバーナーTR-B25」
「味が出た」trangiaの「アルコールバーナー」。
アルコールストーブといえばまず思い出すのがこのtrangiaの「アルコールバーナー」というくらいに王道にしてベーシックなアルストだと思います。自分も人生で初めて購入したアルコールストーブがこのtrangia「アルコールバーナー」でした。2016年に購入したみたいです。
ちなみに日本では「アルコールバーナー」という商品名で売っているようですが、海外では「Trangia Spirit burner」が商品名かもしれません。“trangia alcohol burner”で検索したら、”Spirit burner”がいくつもヒットしたので。
パーツは3つに分かれていて、左から順に、本体、中蓋、外蓋になります。
パーツの説明
本体
こちらが本体です。
真ん中の穴に燃料であるアルコール(エタノール、メタノール)を入れ、火を点けると、気化されたアルコールが縁の穴から出て燃える仕組みです。もちろん、真ん中の大きな穴からも炎が出ます。
ちなみにエタノールとメタノールには以下のような違いがあります。
- エタノール(エチルアルコール):消毒にも使える人体には無毒のアルコール。お酒の原料。燃やすと煤が出る。メタノールより高価。
- メタノール(メチルアルコール):人体に有毒な燃料用のアルコール。飲用不可で、もちろん消毒にも使えない。燃やしても煤はあまり出ない。エタノールより安価。
自分は、安価で、煤が出ないメタノールを燃料用アルコールとして使ってます。ただし、上にも書いたように有毒なので、取り扱いには注意。
中蓋
中蓋はスクリューになっています。
黒いパッキンが付いていて、本体にスクリューで締め付けることにより、一応、中にアルコール燃料を入れて持ち運ぶことができるのですが、たしかメーカー非推奨。アルコールを中に入れて持ち運ぶ場合は自己責任でお願いします。自分は、緊急時以外は基本的には燃料を入れっぱなしにはしてません。
外蓋
外蓋は火力調整するために、このように天板をずらせます。
天板をずらして本体に乗せることにより、火力を絞ることができます。が、本体にゴトクを乗せている場合、外蓋を乗せることができないので、単体では火力調整するような運用はあまりできないと思います。外蓋の火力調整機能は、trangiaのストームクッカーと組み合わせたときにこそ真価を発揮するんじゃないかなーと妄想しています。
外蓋のもうひとつの大きな機能として、消火機能があげられます。
こうやって被せることにより、まだアルコールが残っていても火を消すことができます。EVERNEWの「Tiアルコールストーブ」などは消火用の蓋がないので、基本的にはアルコール燃料が燃え尽きるまで、放置するしかないんですよね(緊急時にはクッカーを被せるなどして、消火する)。
なお、trangiaの「アルコールバーナー」の外蓋は、EVERNEWの「Tiアルコールストーブ」にもピッタリと合うサイズなので、
このように「Tiアルコールストーブ」の消火や火力調整にも使えます。
スペック
使用燃料
- エタノール(エチルアルコール・消毒用アルコール)
- メタノール(メチルアルコール・燃料用アルコール)
サイズ
- 直径:75mm
- 高さ:45mm
重さ
重さは実測で110.4グラムでした。
カタログ値も110グラムなので、かなり工作精度は高いと思われます。
組み合わせるゴトク
trangia「アルコールバーナー」は単体では使用できず、ゴトクが必要になります。自分が組み合わせているゴトクを紹介します。
EVERNEW「AL ストーブ用チタン十字ゴトク」
最初に導入したのがEVERNEWの「AL ストーブ用チタン十字ゴトク」でした。
EVERNEWの「Tiアルコールストーブ」に合うように作られてるはずですが、trangiaの「アルコールバーナー」にも合う、優秀なゴトクです。
ゴトクの背が低くて最大火力になる場所にクッカーの底が来ないのですが、背が低いゆえに安定感もあり、弱火で使う分には問題ないと思います。風防機能はないので、屋外で使う場合は別途風防が必要だと思います。
なお、EVERNEW製品が何でもtrangiaに合うというワケではなく、「アルコールストーブスタンド」は
こんな感じで少し浮いてしまい、上の風防をうまくセットすることができませんでした。
VARGO「チタニウム ヘキサゴンウッドストーブ」
屋外でよく使用するゴトク、VARGOの「ヘキサゴンウッドストーブ」です。
「ヘキサゴンウッドストーブ」はその名の通り、本来はウッドストーブなのですが、これがアルコールストーブの風防兼ゴトクにピッタリ。上にも書いたように、屋外では風防が必要なので、風防兼ゴトクはヒジョーに都合が良いわけです。
むしろ、VARGO「ヘキサゴンウッドストーブ」はウッドストーブとしてはほとんど使用しておらず、アルストの風防兼ゴトクとしてばかり使用しています。
EmberLit「ファイヤーアント ウッドストーブ」
trangiaの「アルコールバーナー」はアルコールストーブのスタンダードと言っても良い製品のため、後発の製品が「アルコールバーナー」の規格に合わせた設計をしてくることがあります。
例えば、EmberLitの「FireAnt Titanium Ultralight Backpacking Stove」というウッドストーブは、側面にスリットが入っていて、このスリットにtrangiaの「アルコールバーナー」がピッタリ収まるようになっています。
製品としてはウッドストーブなんだけど、アルコールストーブにも対応することにより、ウッドとアルコールのマルチフューエルを謳えるワケですね。上のVARGO「ヘキサゴンウッドストーブ」も、ウッドストーブとしての形態を持っているEVERNEW「アルコールストーブスタンド」も、同様の思想のもと設計されているものと思われます。
まとめ
簡単にメリット、デメリットを挙げてみます。
- メリット
- 消火や火力調整に使える外蓋が付属している
- アルコールストーブのタンダードとなっているため、後発の製品が対応している場合がある
- デメリット
- 真鍮製のため、多少重い
個人的には、メリット、デメリットを超えたところにある、オーセンティックな機能美に惹かれます。王道にしてベーシック、スタンダード。金色の真鍮製でちょっと重たいのも愛嬌に感じられます。
また、trangiaは「アルコールバーナー」の周辺機器をいくつも取り揃えていて、とくに「ストームクッカー」はいつかは欲しい。日本における正規代理店がイワタニプリムスというところも安心感があって良い。
昨今は、trangiaといえば「メスティン」という感じかもしれませんが、むしろ最初のtrangia製品としては「アルコールバーナー」を推したい。アルストとしてまずはtrangiaの「アルコールバーナー」を試してみて、そこを基準にそのほかのアルストに進んで欲しい。
最初の一歩はtrangiaであるべき。
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