子供のころはわりと読書家で、習慣的に本を読んでいたような気がするんだけど、あれは「物語」を読んでたからですかね。
大人になって、なかなか没入感が得られない「技術書」くらいしか読まなくなると、次第に本との距離が離れていって、このところは年に1冊も読書しないなんて状態が続いてました。
が、自身のキャリアについて悩むこともあり、まずはビジネス書から読書習慣を取り戻そうかと、去年から意識的に本を手に取るようにしています。ちなみに2019年の読書量は8冊、2018年は0冊。
今年は1~3月の四半期ですでに2019年と同数の8冊を読んでいて、今のところ習慣化に成功しているような気がします。なので、ここで読んだ本を公開することにより、読書習慣をより定着させようという試みなのですが、失敗すると、公開したプレッシャーで現在の習慣が崩れるという、なかなか際どいリスクもはらんでいると思っています。
やる気が上がる8つのスイッチ – コロンビア大学のモチベーションの科学
「マインドセット」「フォーカス」「自信」という3つの軸をそれぞれ2つに分けて、2×2×2=8タイプに人を分け、それぞれで最適なモチベーションの上げ方を解説。
3つの軸の分け方は以下の通り。
- マインドセット:「証明マインドセット」と「成長マインドセット」
- フォーカス:「獲得フォーカス」と「回避フォーカス」
- 自信:「ある」「ない」
これらがどこに位置するかで「中二病」「うざいやつ」「臆病者」「退屈な人」「やる気の空回り」「真面目な見習い」「新星」「熟練の匠」という面白い名前の分類で分け、それぞれがどうやったらやる気が上がるようになるのか、その処方箋が書かれています。
嫌われる勇気 – 自己啓発の源流「アドラーの教え」
アドラー心理学の書籍。心理学というより哲学という感じ。
嫌われてもいいじゃない人間だもの、というような内容ではまったくないという意味で、すこしタイトルで損をしているかもしれません。自身の性格や、対人関係に悩んでいる方にはぜひ一読を薦めたい。
- トラウマは存在しない
- すべての悩みは「対人関係の悩み」
- 承認欲求を否定する
など、自分のとってはかなりセンセーショナルな概念が盛り込まれ、読後の「マインドセットのシフト」がすごかった印象です。
「課題の分離(馬を水辺に連れていくことはできるが、水を呑ませることはできない)」を適切に運用できると、生きやすくなる人生もあるという感想を持ちました。
実践 スタンフォード式 デザイン思考 世界一クリエイティブな問題解決
デザイン思考(人々が持つ本当の問題を解決するための考え方 – マインドセット)のプロセスを解説。
デザイン思考のプロセスには下記のステップがあり、それぞれのステップをどのように進めていくかが記載されています。
- 共感(Empathize)
- 定義(Define)
- アイデア(Ideate)
- プロトタイプ(Prototype)
- テスト(Test)
世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか – 経営における「アート」と「サイエンス」
なぜ美意識が必要なのか、その美意識を鍛えるためにはどうすれば良いのか。
ここでの「美意識」とは経営における「真・善・美」を判断するための認識モードのことであり、この「真・善・美」という軸を通して、経営の方法やこれからの社会を生き方を論じています。
デザイン思考についても言及あり。
伝え方が9割
「伝える」テクニック。
あなたのお願いを実現する答えは、自分の中にはない。相手の中にある。
は、嫌われる勇気の「課題の分離」にも通じる。
「強いコトバ」をつくる技術:
- サプライズ法
- ギャップ法
- 赤裸裸法
- リピート法
- クライマックス法
仕事でも「なかなか伝わらないな」と思うことが多くあり、何度も読み返して練習していきたい。
未来を変えるためにほんとうに必要なこと
問題を解決するためには「力」と「愛」の間を行ったり来たりし、バランスさせながら進む必要がある。ここで言う「力」と「愛」は人の根本的な衝動で、
力とは、自分の目的を達成しようとする衝動、仕事をやり遂げようとする衝動、成長しようとする衝動
であり
愛とは、ばらばらになってしまったもの、あるいはそう見えるものを再び結びつけ、完全にしようとする衝動
のこと。
「力」と「愛」のどちらかに偏った、アンバランスな世界の中で、我々は問題にぶつかってしまうことが多い気がする。愛なき力でもダメ、力なき愛でもダメ。とくに心に残った以下を引用しておきたい。
愛なき力は、無謀で乱用をきたすか、それ以上に悪質なものであり、力なき愛は、感傷的で実行力に乏しいか、それ以上に悪質なものだ
HIGH OUTPUT MANAGEMENT
インテルの元CEO、アンドリュー・S・グローブによるマネジメント方法の解説。経営者に向けたものだと思うが、ミドルマネージャーにも十分に役立つ。
何度も出てくるのがマネージャーの仕事、責任とは何か、ということで、それは「部下から最高の業績を引き出すこと」であると断言している。
マネージャーのアウトプット = 自分の組織のアウトプット + 自分の影響力が及ぶ隣接諸組織のアウトプット
この辺を理解していない(ミドル)マネージャーが多いんじゃないかなーと思ったり。
内容にとくに目新しいものはないのだけど、心にグサグサと刺さる熱量がすごい。「レバレッジを効かせる」ところは自分も意識していきたい。
PIXAR 〈ピクサー〉 世界一のアニメーション企業の今まで語られなかったお金の話
おなじみスティーブ・ジョブズがアップルを追われ、ピクサーとともに返り咲くところの物語を絡めながら、ピクサーをディズニーに並ぶ一大アニメーションスタジオに成長させたファイナンス戦略が語られます。
読み物としても非常に面白かった。
意外にも、最後に「中道」というキーワードが出てきて、未来を変えるためにほんとうに必要なことの「力と愛のバランス」に似た概念ということに驚きました。