IMCO自動炊飯シリンダーで自動炊飯してみた

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IMCO(イムコ)というメーカーをご存じだろうか。

Wikipediaに掲載されている公式サイトすら404になってしまい、ググってもAmazonのページしかヒットしない、大方の非スモーカーと非アウトドアマンにとっては謎のメーカーであり、一方で、ある一定以上の年齢層のごく一部のスモーカーとアウトドアマンにとっては、オイルライターのメーカーとして有名です。

「イムコ・スーパー」の名前は知らなくても、このライターを見たことがある人は多いと思います。

汚くてすみません。いちおう元喫煙者のワタクシもこれを使っておりました。

いかがだろうか? 紐のネクタイをしているようなおじいちゃんが使ってなかっただろうか?

意外にもジッポーよりも先輩であり、ゆえに

ジッポーを含む世界中ほぼ全てのオイルライターのフリントとウィックはイムコ社の規格に基づいており、コンビニエンスストアの使い捨てライターなども例外ではない。

イムコ – Wikipedia

要は、現在のフリント式ライターのお兄さんだったりします。

元祖オイルライターパイセンです。

さて、昨今のアウトドア界隈でブイブイ言わせているのが、このIMCOブランドから発売された「自動炊飯シリンダー」なんですよ。

この銀色に鈍く光るシリンダーをアルコールストーブにインストールして使用すると、自動炊飯ができちゃうという優れもの。買って使ってみたので、軽い興奮とともにさっそくレビューさせていただきたい!!

構造と仕組み

いきなり分解(と言ってもネジが切られているだけなのでカンタンに分解できます)してみたんですが、要はシリンダー内に難燃性のカーボンフェルトが詰められていて、メッシュで蓋をしているという構造です。

アルコールストーブにこんな風(↓)に入れて使います。

裏(底面)もメッシュになっています。十字にスリットが入っているのが分かります。

底面を下にして置くので(下にするから底面と言うのだが)、スリットがないとアルコール燃料がシリンダー内に染み込んでいかないんですよね。

アルコールストーブの困った点というか、自動炊飯に向かないところは、本燃焼イコール最大火力であり、ほぼ最後までその最大火力が持続してしまう、つまり、一気に燃えてしまうところにあります。

炊飯の火加減の基本は、「はじめは強火、吹きこぼれ始めたら弱火、焦げる直前に消化」です。固形燃料による自動炊飯は、固形燃料が点火してすぐに最大火力になり、徐々に火力が弱くなって、ちょうどいいところで火が消えるからうまくいくんですね。アルコールストーブだと「徐々に火力が弱くなって」いくというプロセスが短すぎる、ゆえにうまくいかない、ということなんだと思います。

「自動炊飯シリンダー」は、適切な量のアルコール燃料をシリンダー内のカーボンフェルトに染み込みこませることにより、アルコールストーブの燃焼が終わっても、シリンダーだけが燃え続けることができます。これにより「徐々に火力が弱くなる」というプロセスを実現しているんでしょう。

「自動炊飯シリンダー」による自動炊飯

準備

今回準備したのはこちら。

上段のクッカーには本サイトの自動炊飯でお馴染み、trangiaの「メスティン」。

下段左から「自動炊飯シリンダー」、EVERNEW「チタンゴトクtriveTi」trangiaの「アルコールバーナー」、アルコール燃料。

吸水

ほかの自動炊飯実験と同様に、1合のお米を用意。宗教上の理由(面倒くさい)で、お米は研いでません。無洗米じゃないのに研いでません。

お米が1合なのは、メスティンの内側のグロメットの中心のあたりまで水を入れると、お米1合を炊くのにちょうど良い水の量になるからです。メスティン目線で米の量を決めてるんでした。

蓋をして30分吸水。とにかく、吸水時間をしっかり取れば、だいたいちゃんと炊けます。ほぼ勝ち確です。

アルコール燃料の量

アルコールストーブに適量のアルコール燃料を入れます。

「適量のアルコール燃料」は、取り扱い説明書によると、以下になります。

米の量アルコール燃料の量
0.5合15〜20ml
1.0合20〜25ml
1.5合25〜30ml
2.0合30ml以上

今回、屋内で風の影響を受けない環境でのテストなので、1合のお米の下限である20mlのアルコール燃料にしました。屋外の場合は、上限の25mlにするとちょうど良いんじゃないかと思います。

点火

「自動炊飯シリンダー」を中央の穴にそっと入れます。

勢いよく入れると、中に入っているアルコール燃料がはねます。

シリンダーにアルコール燃料を吸い込ませるために、30秒ほど待ってから点火します。

このとき、なかなか火が点かなかったんですが、たぶん、シリンダーのメッシュ部分に着火するイメージだったら点くと思います。なぜか、隙間のアルコール燃料に火を点けようとして、火が酸欠になってすぐに消えるという謎のムーブを起こしてました。

火が点いたらゴトクにメスティンを乗せ、その上にカレーの缶詰を開封して乗せます。

カレーは自動炊飯実験でお馴染み、いなば食品のチキンとタイカレー(グリーン)です。

炊飯

最初はシリンダーからしか火が出てません。いわゆる「始めちょろちょろ」状態だと思われます。が、炊飯自体は最大火力から始めても問題ない気がします。

なかなか本燃焼に移行せず、やきもきしてましたが、3分後に本燃焼が始まります。

着火から7分半後、「アルコールバーナー」の穴から出ていた炎がなくなり、中央部分の炎だけになります。メスティンからはまだ吹きこぼれがなく、意外と早く本燃焼が終わるんだなっていう印象。

7分半後、横の小さな穴からの炎がなくなる。

10分後、ついに吹きこぼれ始めます。メスティンからはブツブツと沸騰する音が聞こえてきます。

着火から15分半後には吹きこぼれもなくなり、チリチリ音が聞こえ始めます。ガスバーナーで炊飯するときなら、火から下ろすタイミングを見計らい始めるところです。この頃には炎はシリンダーからしか出ていない状態。

19分後、チリチリ音もなくなり、メスティンは沈黙状態。炎はシリンダーからわずかにのぞく程度。21分後に火が消えました。

アルコール燃料20mlで21分。普段はここまで火が持つことはないので、たしかに「弱火を続ける」という効果はあったようです。

完成

10分ほど蒸らして、白い悪魔(白米)とご対面。

蓋をオープン!!

はい、完璧。はい、成功。

メスティンの上で温めていたカレーをかけまして、

はい、美味しい。はい、天才。

米は完璧な炊き上がり。メスティンにまったく焦げはなし。先生100点つけちゃう。以上。

なお、一回の使用でメッシュにはこのくらいの焼き色がつきました。

まとめ

アルコールストーブによる炊飯で、しばしばあげられる「火力が強すぎる問題」「自動炊飯できない問題」は、IMCO「自動炊飯シリンダー」で最終的かつ不可逆的に解決しそうです。

構造はそれほど難しくないので、おそらく自作も可能だし、実際に自作している人も多いと思いますが、なかなかの精度で炊飯問題をクリアにしてくれる本製品、アリだと思います。

簡単にスペックに触れておくと、重さは21.1グラム。クッカーセットに加えても誰も文句を言わない重さとサイズ。

trangiaの「アルコールバーナー」だと、すこーし火力が弱くて、炊飯に時間がかかった気がしましたが、EVERNEWの「Tiアルコールストーブ」なら外側の穴からも炎が出るので、もっと短い時間で炊飯が完了するかも? と思いました。もともと火力の強いアルコールストーブですしね。

EVERNEW「Tiアルコールストーブ」

熱伝導率の高いクッカーで、火力調整が簡単な火器を使えば、炊飯自体はぜんぜん難しくはないのですが、自動的に、つまりほったらかしておいても炊飯が完了するというのは、ヒジョーに楽チンなので、白い悪魔(白米)好きでアルスト好きな皆さまにおかれましては、ぜひご検討いただきたい製品となります。

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