スイスの職人さんが作ってた伝説のガソリンバーナー「ボルドーバーナー」をベースにした、EVERNEW(エバニュー)創業100周年記念の限定モデル「B.C. stove」。
6月以降に発表されると聞いて、6月1日からほぼ毎日のように公式サイトを覗きに行っていたのですが、ずっと入荷待ちです。の案内が続き、7月になり、8月になり、限定モデルゆえの製品化の難しさがあるんだろーなーと、わりとのんびりと構えていたんですよ。
ところが、8月6日に「B.C. stove」の紹介記事のアクセス数が急にピクッと増え、公式サイトではいまだ「入荷待ち」状態であるものの、ネットを検索すると、いくつかのネットサイトで販売してそうな雰囲気が出てきます。
イマイチ信用できないネットサイトよりは、公式サイトでの購入が確実だろうといったんは静観を決め込むのですが、7日、8日と上記記事へのアクセスの流入は続き、「実店舗ではもう販売されてるんだろうか…?」「でも、公式サイトでは相変わらず入荷待ちだしなぁ」とヒリヒリとした夜を過ごすことになります。
そして、お盆休みに入る直前の8月9日金曜日、
これを逃したらもう入手できないかもしれない…
と、ついに焦燥感に駆られ始め、再度ネットを検索すると、数日前はいくつか見つかったネットショップもだいたい売り切れている模様。
めちゃくちゃ焦りながら、ひとつだけ販売中のネットショップを見つけ出し、住所や実店舗の有無など、最低限の調査はした上で、PayPay払いというところに一抹の不安を感じつつも(何しろ、7万7千円という高額商品である)、肉球を汗でじっとりと湿らせながらポチッとな。
数日後…
良かった〜!!
ちゃんと届いた〜!!
不確定要素が多く、届くまではマジで不安だったのですが、そして届いたあとも「これ、本当に本物なのか?」という不安もすこしだけ頭をかすめたのですが、ひとまず手元に現物が届いて良かった。
というアレで、興奮して相変わらず枕が長いのですが、おそらくは世界最速になるであろう「B.C. stove」のレビューをお届けしたい!!
EVERNEW「B.C. stove」EBY730
内容物
内容物はこんな感じでした。
- 本体
- 説明書
- 燃料注入穴ネジ栓の専用Oリング(予備)
- フック棒
若干、あっさりとした内容物ですが、それだけシンプルな製品ということでしょう。
100台限定生産
このEVERNEW謹製ボルドーバーナー「B.C. stove」は100台限定生産という噂もあるのですが、公式サイトには
全ての製品は水没加圧テストと燃焼テストを行い、
合格した製品に「xxx/100」の番号を刻印しています。
とあるのみ。
まぁ、フツーに読み解くと、シリアルナンバーの上限は100なんだろうし、創業100周年を記念しての100台限定生産なのかなーとは思います。が、公式サイト上では「100台限定生産」という文言自体を見つけることはできませんでした。
個人的には、シリアルナンバー付きの100周年限定品は100台限定生産でもイイけど、シリアルナンバーなしで良いので、通常生産の「B.C. stove」が今後販売されててもイイかなーとも思います。
ちなみに、ワタクシの「B.C. stove」のシリアルナンバーは60番台でした。
いちおう、シリアルナンバーも打たれているし、製品の仕立ても精巧で、仮にコピー品を作ったとしても労力に見合わないように見えるので、まずは本物と判断しています。
ノズル部
「B.C. stove」を特徴づけるノズル部は銅製。ノズルと、手曲げされた燃料導管、ニードルから構成されています。
ちなみに燃料はホワイトガソリンを使用します。
ノズルは、(YouTubeで見たことしかないのだけど)オリジナルのボルドーバーナーの方がやや肉厚かなという気はしますが、かなりオリジナルに寄せたデザインに見えます。
手曲げの銅パイプも美しい。いわゆるジェネレーターの部分で、ここが熱せられることで、燃料が気化し、燃焼するのだと思います。また、一部の気化した燃料は燃料タンクに戻り、タンクの内圧を上げて、再びジェネレーターに燃料を送り込む仕組みなのかなーと想像します(少なくとも見た目の構造ではそう見える)。
こちらがニードル。
ニードルは燃料導管の真ん中あたりの受け口に刺さっていて、この受け口から気化した燃料が吹き出して、燃焼します。
フック棒でノズルを締めたり緩めたりすることにより、ノズルに直結したニードルが受け口の燃料の流量を調整できる仕組みです。
ニードルを締め付ける力が(テコの原理で)容易に伝わる構造で、ニードルもジェネレーターも剥き出しと、見るからに繊細な構造なので、ノズル部の取り扱いには注意したいところです。
燃料注入穴ネジ栓
燃料注入穴のネジ栓は溝が切られていて、フック棒で開くことができるようになっています。
ネジ栓にはOリングが付いていて、予備のOリングも同梱されています。
このOリング、SVEA 123Rの注油口キャップの安全弁とおそらくは同じ設計思想で、燃料タンクが熱くなりすぎた際に溶け、燃料タンクの圧力を逃し、燃料タンクが爆発することを防ぐようになっています。
オリジナルのボルドーバーナーには、このOリングはなかったと思うので、おそらくはEVERNEWの安全基準で取り付けられたものと思われます。予備のOリングが付属しているのも嬉しい。
それにしても…紹介すべきパーツはこんなもので、マジでシンプルな構造なんだなぁと改めて認識しました。
初火入れ
シリアルナンバー入りの100台限定生産品。もちろん、使用するために購入したのだ。火を入れるんである。
とは言え、出荷時にテスト燃焼をしているはずで、ノズルも燃料導管も最初からやや焼けてますけどね…。
「B.C. stove」にはゴトクがなく、本来の使い方としては、石などを組んでゴトクやカマドを作るとのこと。ということで、大きな石がゴロゴロ転がっている河原で初火入れをしてきたのですが、…結論としては足場が悪く、風も強くて、けっこう難儀しました。
プレヒート(予熱)
「B.C. stove」は、燃料タンクのガソリンを染み出させて、それに着火してプレヒートするようなのですが、ガソリン燃料を使用したプレヒートの煤を嫌って、慣れているアルコール燃料でプレヒートすることにしました。
炎は見えませんが、アルミ皿のアルコール燃料は燃焼しています。
ある程度、ジェネレーターが暖まったところで、ノズルを緩めると、想像以上のガソリン燃料が流れ出しました。
着火
ちょっとガソリン燃料、出過ぎてるよなぁと思いつつ、着火。
火だるまである。
いや、あんだけガソリン燃料が漏れ出してるんだからそうなるよ!!
ちゃんと気化したガソリンに着火しないと!!
周りに何もない河原でテストしてたこともあり、ちょっと気が大きくなってましたが、これが屋内だったらと思うとゾッとします。
風向きも悪くて、燃料タンクが(せっかくアルコール燃料でプレヒートしたのに)煤だらけ。加圧も進んでそうです。
再チャレンジ
ぜんぜん本燃焼に持っていけなさそうだったので、いったんノズルを締めて消火し、ちょっとストーブ(と心)を落ち着かせてから、今度はガソリン燃料でプレヒートしてみました。
ノズルを緩めて燃料を染み出させたあと、いったんノズルを締めて着火。
プレヒートに使用する燃料が確実に地面にこぼれるので、この辺は運用をよく考える必要がありそう。例えば、屋外でも、下に落ち葉があるような場所では使えないと思います。
その後、落ち着いてノズルを徐々に緩めると、ようやく本燃焼を開始!!
赤火が減り、ガソリンストーブ独特のゴーッという勇ましい燃焼音が響き渡ります。
いいぞ!! 「B.C. stove」!! その調子だ!!
ちなみに、燃焼中の燃料タンクはとんでもなく熱かったです。
乙女の柔肌のようなワタクシの素手ではまったく触れませんでした。グローブや手ぬぐいなど、燃料タンクに触るためのものが必須だと思います。
お湯も沸かしてみた
調子に乗って、お湯も沸かしてみました。
が、そもそも「石でゴトクを作る」のが難しい。安定性を重視して、trangiaの底が広いケトルを持ってきたのですが、このケトルがうまく乗るゴトクを石で組むのがけっこうダルい。
なんとかゴトクを組み上げ(かなり不安定でした)、その下で「B.C. stove」を燃焼させたところ、ゴーッという燃焼音はするものの、赤火が多く、たぶん途中からは煤も出ていて、ケトルの底が真っ黒になりました。
ノズルを調整してみても赤火が出続け、300mlほどの水だったと思いますが、最後まで水を沸騰させることはできませんでした。
ゴトクのデキはともかく、この赤火は気になっていて、もう少し慣れが必要かもしれません。前半はここまでの赤火は出てなかった気もするし、もうちょっと風の動きがない安定した場所での検証が必要かも。
まとめ:ロマンしか感じないガソリンストーブ
火だるまになったときは、本当にどうしようかと思ったEVERNEW「B.C. stove」。
もっと慣れは必要だと思いますが、そのシンプルな構造ゆえの扱いの難しさ、面白さに心惹かれない人はいるだろうか。きっといないと思う。いたらゴメン。
独特なデザインもヒジョーに目を引き、これぞ機能美という佇まい。限定生産という希少性を差っ引いても、
ロマンしか感じない
という感想しかありません。
「B.C. stove」スキル、もっと高めたい。
最後に、ロマンのかたまり「B.C. stove」の、公式の使用方法を貼っておきますね。アルコール燃料でプレヒートするのは正しい使用方法じゃないからね。
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