OPTIMUS SVEA 123R │ 金色の小さな悪魔

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アウトドアにおける燃料としては液化ガスが安全で使いやすくて最高なんだけど、ガスカートリッジ方式の欠点である

  1. ガス缶のゴミが出まくる
  2. 使いかけのガス缶の対処がダルい

に対応したい、という口実で、ガソリンストーブを手にいれる正当な理由を得たんですが、イマドキの分離式で迷った挙句、ちょっと目線を変えて完全にロマン枠であるOPTIMUS SVEA 123Rを導入しましたよ、という話。

OPTIMUS SVEA 123R

パッケージ

100年以上姿を変えないと言われるSVEA 123Rですが、現在は現代的なパッケージで販売されています。緑色がOPTIMUS社のコーポレートカラーなんですかね。ポップでイイ。

ちなみに、最近のパッケージはレトロなパッケージになっています。こっちの方が好み。

SVEA 123Rの前に、SVEA 123というモデルもあるのですが、その違いはクリーニングニードルの有無という理解です。1960年代にOPTIMUS社に買収されたSVEAブランドと、その前に買収したラディウス社のクリーニングニードル特許が合体して123Rが登場したらしいので、123R自体もけっこうその歴史は古いみたいです。

取扱説明書は2つ入ってました。各国語のおそらくオリジナル版と、多分、日本の正規代理店であるスター商事が入れてくれている日本語版。日本語版、助かる。

内容物は以下の、大きく分けて3点。

左から風防兼ゴトク、本体、ソースパン。真鍮の金色が美しい。

外観

チューリップ型のバーナーヘッドと、ゴトク。ここは一回火を点けたらソッコーでヤレちゃうんですよね。キレイなうちにしっかり目に焼き付けておかないと。

調整キーは本体のバーナーヘッドの根本についているので、風防の大きめの穴(3箇所あります)の内側から通す必要があります。

こんな感じで組み立てて使います。

調整キーをバルブスピンドルに刺して捻ることにより、火力を調整できます。反時計回りに回すとオープン、時計回りに回すとクローズ(消火)。反時計回りに回し切ってもニップルからクリーニングニードルが出て消火します(が、説明書では時計回りで消火するよう記載があります)。

便宜上、上の画像では調整キーを刺した状態にしてありますが、燃焼中は外しておきます(これも、説明書に記載されています)。調整キーを刺しっぱなしにしておくと、すぐに触れないくらい熱くなります。

バルブスピンドルのアップ。こんな感じで調整キーを刺してます。というか調整キー側がメスです。

燃料タンクの刻印。以前はMADE IN SWEDENと刻印されていたらしい。現在はスウェーデンで製造してない(台湾らしい)ので、MADE INがないのかも。

一番右の画像ですが、燃料タンクに

BENSOLINE
PETROL
ESSENCE
BENSIN

と記載されてます。ベンジンとガソリンだと思うので、使用燃料が記載されてるのかな。

被せてあるソースパンを外すと、こんな形で丸い穴に調整キー、細長い穴にソースパンハンドルが収納されてます。

ソースパンハンドルはこんな形で下から差し込んで使います。固定されていないので、触るとすぐに落ちます。

ソースパンをゴトクに乗せたところ。ミニマムな美学。良き。

このソースパンハンドルも燃焼中は外して使うことになると思います。引っかかってるだけですぐに落ちるし、アルミ製なのでハンドルもすぐに熱くなって持てなくなりそう。持てないハンドルほど用をなさないモノはありません。

ちなみに、今回amazonでポチったのですが(出荷元・販売元もamazonでした)、燃料タンクの裏にはスター商事のシールが貼られてました。つまり、スター商事が正規に輸入した製品ということです。

変なパチモンじゃなくて良かったのですが、スター商事から直接買うよりも少し安かったし、どういう仕組みなんだろう…。スター商事はamazonにも卸していて、amazonは利幅を抑えて売ってるのかな。

初火入れ

道具は使ってナンボ。いつまでも真鍮製の美しいフォルムを愛でているわけにもいきません。屋内での使用も怖かったので(もともと屋外専用のはず)、近くの公園に持ち出して初火入れをしてみました。2022年11月の後半。それなりに寒い日でした。

燃料はホワイトガソリン。人生初のガソリンストーブ燃焼実験を成功させるため、コールマンのエコクリーン、通称「青ガス」を選択し、万全の体制を整えました。

1㍑で1,000円近いという超高級ガソリン。

プレヒート(予熱)にはアルコール燃料を使用。アルコールストーブのユーザーなので、アルコール燃料はいつでも手元にあるし、他の固形燃料、液体燃料を使うと煤がついて結構めんどいというのを事前に調べていたためです。

プレヒートもどのくらい熱すれば良いか分からず、1回では暖まりきってなさそうだったので、念のため2回実施。そして、着火。

最初は弱々しい、フルルンフルルン…という断続した燃焼音。それでも赤火が燃え上がることもなく、ホワイトガソリンはしっかり気化されている模様。おそらくはタンクが暖まってないため、バーナーへの燃料の流入量が少ないんだと思います。

そのうち草刈り機というか、原動機付自転車のエンジン音のような断続音となり、調子が出てきます。

せっかくなので、付属のソースパンを使って水を沸騰させてみました。勇ましい燃焼音のわりには火力はそこまで強くなく、1,300kcal/hとのこと。PRIMUSのP-153ウルトラバーナーが3,600kcal/hなので…まぁ、みなまで言うまい。

こんな画像しか残ってませんが、ボッコボコに泡立って沸騰しましたから!! 安心してください!!

クッカーを下ろす頃には燃焼音は連続音となっていて、調子よく燃えてました。

見よ、この想像以上にやかましくも愛らしいSVEA 123Rの勇姿を。まさに

金色の小さな悪魔

の名に相応しい。あと、悪魔なのはその燃焼音だけだ。

意外にも火力の調節範囲が広く、強火(1,300kcal/hだけど!!)から弱火までイケる感じ。トロ火は難しいかも。

調整キーを使ってニップルを開けたり絞ったりして火力を調整するのですが、お湯を沸かすだけなら火力は全開で良いので、むしろ調整キーはプレヒートから本燃焼に移るときによく使います。バイクのチョークをひねってエンジンの回転を調整するような感覚があって、雰囲気がイイ。

という感じで大きなトラブルなく、初火入れを終えることができました。

ちなみにバーナヘッドとゴトクは一撃でこんな感じで焼けました。

注意点

SVEA 123Rを使用する上で、気をつけた方が良い点を挙げてみます。

燃料タンクの過加圧

SVEA 123Rは非加圧式のガソリンストーブなので、自身の燃焼による加熱によりタンク内の圧力を上げて、燃料をジェネレーター内に送っています。まさにマッチポンプなんですが、要は燃料タンクは加熱を前提としているため、燃料タンク内の圧力が上がりすぎ、爆発しないように、安全弁がついています。

こちらが安全弁付きの注油口キャップ。

で、この安全弁が効いて圧力が抜けたときは、抜けたガスに引火して炎が勢いよく噴き出すそうなので(説明書に記載があります)、安全弁が効くほどの高圧にならないよう、注意が必要です。

なお、一度安全弁が作動するとこの注油口キャップは交換が必要とのこと。おそらく、加熱によりゴム(?)が破れる形で安全弁が作動するんだと思います。

使用可能な鍋(コッヘル)のサイズ

上のタンクの過加圧にも影響してくるのですが、大きなコッヘルは使用できません。

取扱説明書には

直径11cm以上の大きなコッヘルは載せないでください。大きなコッヘルを使用すると燃焼中の反射熱でタンクが熱せられ、内圧が上がり過ぎてタンクが破裂することがあります。

とあります。

付属のソースパンの直径は約9.5cmですが、ロータスアルミポットtrangiaの0.6Lのケトルですでに直径約13cm。U.L.なクッカーとしてよく使用しているbelmontのチタンシェラカップ深型480ですら直径12cm弱。

個人的には「11cm以上のコッヘルNG」は現実的ではないので、リスクを理解して自己責任で使用するしかなさそうです。

まとめ

SVEA 123R。火入れをしたあとは、ほぼ毎日のようにお茶を飲むために使っているというか、SVEA 123Rを使うために毎日お茶を淹れているというか、そのくらい高頻度で使うくらいには気に入っています。

あまりにも使い過ぎてて、ニップルの穴が広がらないか心配なくらいです(現行品なので、部品の入手性は高いですけど)。

お気に入りポイントは意外にもその「プレヒートが必要」という手間のかかり方だったりします。現代人として、できるだけ無駄を排除したいと思う方ではあるんですけど、それは仕事においては正しいと思うのですが、趣味においては無駄が良いというか、趣味自体、無駄で構成されてますからね。不毛な無駄さではなく、実用を伴う無駄さに、「趣味性」やあるいは「ゆとり」を感じてしまうんですよ。

なんというか、ガスだとシューって開いてボッと火を点けるだけじゃないですか。オートマチック。それに対してガソリンストーブはプレヒートという手続きがマニュアルトランスミッション的な手間の掛け方に感じられて、そこがイイよ、という感じ。なんだろう、言葉を重ねれば重ねるほど伝わらない気がする。

あとね、ちっちゃくてかわいい。ちっちゃくてかわいい金色の悪魔。好き。

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