令和6年能登半島地震の経験と教訓

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令和6年能登半島地震によりお亡くなりになられた方々には謹んでお悔やみ申し上げますとともに、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

元旦

元旦の16時10分、「令和6年能登半島地震」が発生。

自分は、白山セイモアスキー場の午後券(恒例の白山比咩神社の初詣渋滞に巻き込まれ遅くなった)をしゃぶりつくそうと16時ギリギリの最終リフトに乗り、滑り降りて駐車場で着替えようとしているときに地震に遭遇。クルマはガタガタと揺れるし、足元のタイルもうねっていて(液状化を疑った)、周りにいた人もフラフラと立っていられないような状況でした。着替えてる最中だったこともあり、スマホの所在が分からず、動画には収められず。

スキー場では、今となっては意味深な画像を撮ってました。

その後の放送で震度5強が分かり、実家への帰省をキャンセルして(両親と実妹、実弟家族もそれぞれ避難した模様)、いつもよりも時間をかけて帰宅。色んなモノ、主にスノーボードですが、が倒れていたけど、大きな被害はありませんでした。灯油のポンプが倒れていて、灯油が廊下に漏れ出ていたのは危なかったけど。

電気、水道、ガスの無事を確認し、やれやれこの程度で済んだか、と。もし、もう20分ほど地震が早く発生していたら、リフト上であの揺れに遭っていたかもしれず、肝が冷えました。猛烈に揺れたので、リフトから落ちていたかもしれないし、リフトも止まるはずで、何時間も宙吊りになっていたかもしれない。

そう言えば、2007年の能登半島地震のときもセイモアスキー場の駐車場で遭遇したんだよなーとか思い出しました。

しばらくして、断水していることが判明。地震が来たらすぐに風呂に水を貯めろというのは、地震後しばらくは水が出るからそのうちに確保せよ、ということなのか。

飲料水がペットボトル2本とプラティパスに700mlくらいしかない。

1月2日

断水するとトイレもシャワーもできないという理由で、実家に避難させてもらいました。弱い。

実家でも余震を何度も感じるし、報道される死者数は見るたびに増えている。行方不明者数が発表されないのが怖い。

空いた時間を利用して、購入していたマルチフューエルストーブ、MSRの「ウィスパーライトインターナショナル」の火入れ式を行いました。

周囲にも被災者、被災者の家族が何人もいることが徐々に分かり始め、自分も分かる範囲で連絡を取ったのですが、返信が来ない人もいてまあまあ不安。「この人と連絡が取れないか?」という話もよく回ってくる。自分の無事を知らせる必要性も感じ、久しぶりにFacebookを開きました。

日航機と海保機が衝突したというニュースも飛び込んできて、とんでもない年始になったなという感想も持ちます。

1月3日

午後、なかなか既読がつかなかった後輩くんから、珠洲で家屋倒壊に巻き込まれていたけど、無事にしていると連絡が入りました。

クルマでの移動が必要ならと申し出たところ、リスク承知の上で可能であればとのことだったので、すぐに出ようとしたのですが、この時点で14時過ぎ。今からだと遅くなるからと、翌日移動することに。この判断をのちに理解することになります。

事前に珠洲までのルートを確認。トヨタの通れた道マップITS Japanの通行実績情報などいくつかのマップを参照し、最終的には開通計画も載っていた石川県が発表しているアクセスルートを信じることにしました。このルートで行くしかないんだなと決心させるという意味で、とても役に立ちました。

1月4日

7時過ぎに実家を出て、いったん帰宅。断水は解除されてるようでした。通水というらしい。

ガソリンスタンドで、後輩くんから所望されてたレギュラーガソリンを補給。

昨今はガソリンの運搬(?)が規制されてて(京アニ放火事件の影響でしたっけ?)、ガソリン缶じゃないと運搬できないし、身分証を見せ、氏名や住所、用途を記録しないと購入できなくなっています。

珠洲への道のりは、まさに惨状と言える状態でした。

15時前に珠洲の目的地にようやく到着。

のと里山海道は上棚矢田ICまで開通していて、そこからしばらくの下道は道路の亀裂は見られるものの、それなりに走れました。R249に入ったあたりから渋滞が始まり、通行可能となっていたもののところどころで迂回路が設定されてる状況でした。穴水付近の渋滞がひどく、ほとんど進まないような時間帯もありましたが、珠洲道路に入ってからはそれなりに速度が出た記憶です。

目的地についても、後輩くんとなかなか連絡が取れず、通信状況の悪さを痛感。途中から3Gのアンテナも立ってなかったし。偶然電波を拾ったのか、通話できたので、何とか顔を合わせることができました。

詳細は控えますが、とにかくご本人たちが無事で良かったです。

持っていったガソリンなどを使ってもらい、残られるご家族の方とのご挨拶もそこそこに帰路につきました。ほぼ同じルートで帰りましたが、4日時点でも下記の一方通行区間が設定されてました。

持っていった1月3日版の地図は以下のようになっていて、「安全のため夜間通行止」となっている区域が、往きでも通れなくなっていて、県道1号線方面側から遠回りしました。帰りは夜間になっていたにも関わらず、一方通行で通れるようになってました。

通行可能な車幅とかの影響で、ロータリーみたいになってるのかな、という会話を車内でした記憶があります。

当該マップは毎日更新されているようですので、必要な方は最新情報にあたることをお勧めします。

金沢に22時半ごろ到着。自宅に帰り着いたのが23時前だったと思いますが、そのまま倒れるように寝てしまったようです。

1月5日

1日中、ぐったりしてました。

長時間運転の影響もあるとは思いますが、倒壊した家屋、亀裂が入ったりうねったりしている悪路、垂れ下がった電線、飛び出すマンホール、点かない信号など、被災地の惨状を目の当たりにして、精神的にもやられたんだと思います。

6日現在はかなり回復してきてますが、肩付近に筋肉痛のようなダルさを感じていて、ずっとステアリングを握っていた影響が今ごろ出てきたのか?とちょっと悲しくなっています。

教訓

今回の大地震から得た、現時点の知見のようなものをカンタンにメモっておこうと思います。

断水は遅れてやってくる

上でも書いたけど、断水はすぐにやってこない可能性がある。おそらく、近くの水道管に溜まっている分の水はしばらく出るので、その間に風呂などに水を貯めておこう、というのが「すぐに水を風呂に貯めろ」の真意らしい。

貯めた風呂の水はもちろん飲用に適さないけど、浄水器を使って飲めるようにするという手もあるし、主にはトイレの水を流すのにも使えるので、貯めておいて損はないと思います。

通信状況がすごく悪くなる

おそらくR249に入ったあたりから、スマホのアンテナが立たなくなり、LINEの通知が届かなくなり始めたと思います。メールもダメ。通話もずっとできなかったし、ショートメッセージも遅配していたと思います。

これはiPhoneの問題なのか、ドコモの問題なのか分かりませんが、通信状況が悪い場所から通信状況が良いはずの金沢に戻ってきても、4Gが繋がりませんでした。アンテナは立ってるのだけど、通信できない。iPhoneを再起動したら直りましたけど、緊急時には致命的になることもあるので、ハードやソフトの問題なら改善して欲しい。

また、会社からの安否確認も届かず、随分遅れて返信することになりました。通信状況が悪い場所でこそ安否確認が必要なはずで、安否確認システムにはその辺、考慮して欲しいところです。

個人として打てる策としては、いくつか連絡手段を持っておくことかもしれません。普段は使わないショートメッセージが意外と使えそうな気はしました。

火事場泥棒が発生しているらしい

ちょっとこの手の話題は好きじゃなくて、意図的に無視していたのですが、ボラ待ちやぐらの近くの根木ポケットパークにトイレ休憩で立ち寄った際、「災害に紛れて泥棒などをはたらく輩がいる、特に海外ナンバーの車両には気をつけること」という主旨の放送が流れてきました。

避難所などではもっと酷い犯罪も発生しているかもしれません(←こういうのが苦手)。

  • 「日本は安全だ、民度が高い」みたいな話はよく聞くけど、過信はできない
  • 緊急時には手を取り合って助け合うという精神は信じているけど、心の奥底の警戒心は持たなきゃいけない

ということは、自分のスタンスとして持とうと思いました。

一方で、このようなスタンスを持たざるを得ないのは悲しい状況だなとも思ってます。

橋の根本の段差が大きくなる

珠洲への道中で気がついたのは、大小問わず、橋の根本の段差が大きくなるということ。建築のことはよく分からないけど、橋の根本は地盤を強化していて、沈下・隆起があまり起こらず、相対的にほかの地形が沈下・隆起して、段差が大きくなるのかもしれません。

能登は地形が複雑で、幹線道路には陸橋が多い印象です。あらゆる橋でクルマが乗り越えられないような段差が発生していることにより、交通路の寸断が多く発生しているのかも? と道中の車内で考えていました。

ひどい渋滞の原因

往きも帰りも穴水を中心とした広い範囲でめちゃくちゃ渋滞したのですが、その原因のほとんどが(想像されるように)悪路によるクルマの減速と、車線規制による片側通行だと思われます。

上にも書いたように段差が大きくなった場所は、ほとんど止まるくらいのスピードでクルマを進ませないと、衝突やパンクなどの二次被害が発生します。事実、橋の根本でパンク(おそらくタイヤの根本も折れてる)し、放置されているクルマを何台か見かけました。都度、ほぼ0km/hまで車速を落とす必要があり、渋滞が発生する原因になっていたかと。

また、土砂崩れや大きな亀裂が入っている場所では、片側通行になり、片方が通行中は、反対車線は停車せざるを得ません。交通整理している人がいれば良いのですが、大きな交差点以外にはそのようなリソースは割かれていないようでした。

また、臨時の信号機(よく見かける、ポータブルで工事中に設置されるタイプのアレ)が設置されている箇所もありましたが、青になるまで待って侵入すると、真ん中あたりで対向車がやってきてすれ違うのに時間がかかるなど、まったく当てになりませんでした(対向車が赤信号で入ってきたのか、それとも青信号で入ってきたけど、悪路で信号区間内の通行が想定時間内に終わらなかったのかは不明)。

アウトドアスキルは持っていた方が良い

今回は個人的に発動させる機会はなかったアウトドアスキル。珠洲で家屋倒壊に巻き込まれた後輩くん曰く、避難所で有り物で料理をしたり、焚き火で暖を取ったりなどということをしたのだが、自分は何もできなかった、と。

その場に自分がいても何もできない可能性は高いのですが、たしかに焚き火や、直火での料理など、通常は経験しないよな、と思いました。こういうスキルは、キャンプなどのアウトドア・アクティビティの中で獲得できるものもあると思うので、活用すべきかもしれません。

一応、今回は、念のため車中泊などの可能性を考慮して、多めの防寒着と、軽い食料、水道水、アルコールストーブ、エマージェンシーヴィヴィなどは携帯していきました。

体力は絶対にあった方が良い

7時から23時まで、16時間のうちせいぜい13〜4時間運転していただけなのですが、まあまあ疲れたことに軽くショックを受けました。クルマの運転って、座って手と足を少し動かすだけなんですけど、それなりに集中してるんですよね。その集中力にわりと体力を吸われるらしい。

また、後輩くんから聞いた話から想像するに、救助などの際に最後にモノを言うのは体力であり、そこから生まれる精神力やバイタリティなんだと思います。

体力や筋力は、鍛えればある程度は獲得できるものなので、残りの人生でおろそかにしないようにしたい。

被災しなかった・軽度の被災で済んだ人ができること

地震に遭って、被災地を目にして、自分のように大きな被害を受けなかった人間にできることって何だろうと考えてみたのですが、まだうまく言語化できてないのですが、できる支援をしたら、あとは努めて日常を取り戻すことなのかなと思ってます。

いま現在、自粛ムードが漂っている雰囲気もあるのですが、過剰な自粛ムードは経済にも影響するし、復興の妨げにもなろうかと。落ち込んでる気持ちもあるんだけど、あえて前を向いて、いつも通りを過ごすというのも大事な気がします。

そんな気持ちで、今日は暖冬で苦しむスキー場にお金を落とすために、スノーボードに行ってこようと思ったんですけどね。朝、起きれませんでした。

まとめ

少なくとも2人の人間を被災地外に避難させるという「仕事」はできたし、これが不要不急にあたるとは思ってませんが、被災地までの大渋滞を作った1台になったということも事実。6日現在は、被災地への自家用車での移動を控えるよう、政府からも通達があり、珠洲への救援はかなりギリギリのタイミングだった気がします。

何が正しく、何が間違っているのか、判断がつかないことも多々あるのですが、緊急時ほど、早く、正しく判断し、行動することが必要とも思いました。

最後になりますが、現在被災地で救援活動、復興支援に尽力されている皆さまには深い敬意を表します。現地で見かけた、県外からの派遣を含む、大勢の消防、警察、自衛隊の皆さま、感謝しています。

一点だけ、被災されている方から、報道ヘリや車両については「ちょっとイラっとした」という声も聞かれました。ご理解ください。

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