いま世の中を騒がせているChatGPTという人工知能エンジンを知っているだろうか。ご存知ない?
では、本人に聞いてみましょう。
あなたは誰ですか。
私はChatGPTという大規模言語モデルです。OpenAIが開発した自然言語処理のための人工知能エンジンの一つで、様々な応用分野で活躍しています。私はテキストに基づく対話や文章生成などのタスクに優れた性能を発揮し、多くの人々に利用されています。
TECHブロガーの端くれとして(ウソ)、時間を見つけてはChatGPTを触ってみてるのですが、自然言語系のAIとしてはこれまでのものに比べてかなり優秀。
個人的には「かなり優秀」という平たい表現ではなく「度肝を抜かれた」という感覚でした。25年前に産声を上げたGoogle様に匹敵するようなゲームチェンジャーになる可能性が高いし、かつて検索エンジンがそうであったように今後はChatGPT(や、今後続々と出現が予想される対話型AI)をいかに使いこなすかがビジネスや仕事の鍵になりそうです。
これはぼくが思っているだけでなく、全世界でそう捉えられているからこそ、ここまでChatGPTが社会現象になっているんだと思います。
このChatGPTの凄さをブログ記事にしたい。
でも、そこまでChatGPTに精通しているわけじゃない。
だったら、ChatGPTに記事を書いてもらえばいいじゃない。
というアレで、ChatGPTに記事を書いてもらうことによって、ChatGPTの凄さを示してみようと思います。
やり方
まず、ChatGPTの記事の構成をChatGPTに決めてもらいます。
ChatGPTのことをブログの記事にしたいと思います。その構成案を考えてください。
はい、理解しました。ChatGPTについてのブログ記事の構成案についてお考えいただけるように、いくつかの提案をさせていただきます。
- イントロダクション
- ChatGPTとは何か、その概要や歴史、OpenAIによる設計などを紹介する。
- ChatGPTがどのようなことができるか、どのような問題を解決できるか、その応用分野についても簡単に説明する。
(中略)
- まとめ
- ChatGPTの概要、設計、応用分野、将来性についてまとめる。
- ChatGPTが持つ可能性や、自然言語処理の進展によってもたらされる社会へのインパクトについて考えを述べる。
- 今後のChatGPTに注目し、その進展に期待を寄せる旨を締めくくる。
以上が、ChatGPTについてのブログ記事の構成案になります。ご参考にしていただければ幸いです。
ここがChatGPTの秀逸なところで、かなりまともな構成が出てきます。普段、思いつくままに文章を書いている身としては恥ずかしい。
本来はこの構成に従って、人間様が内容を考えるのだけど、今回はその内容もChatGPTに考えてもらいます。
具体的には、例えば冒頭の
ChatGPTとは何か、その概要や歴史、OpenAIによる設計などを紹介する。
については、下記のように書き換えて、ChatGPTに回答させます。
ChatGPTとは何か、その概要や歴史、OpenAIによる設計などを紹介してください。
この問いかけを、ChatGPTが出した構成案の項目すべてで行うことにより、記事をChatGPTに生成させようというのが今回の試みです。
基本的にはChatGPTが出力したものをそのまま載せるのですが、すべてを出力する前に止まってしまうことがあり(文字制限?)、その場合は質問を分けたり、あるいは「続けてください」と無理やり回答を続けさせたので、冗長な表現や文脈があるかもしれません。が、それはそれでChatGPT(GPT-3.5です)の実力ということで。
ChatGPTによるChatGPTのブログ記事
上記の方法で生成したブログ記事がこちらになります。なかなかボリューミーなアウトプットになったので、記事を分けました。
感想
読むのが大変なくらいの量のテキストが錬成されるワケですが(一部の職業の方には重宝すると思います)、これらのテキストを切り貼りしていて思ったことなどを。
構成
繰り返しになりますが、かなり優秀な構成を出力してきます。実際に提案された目次案が以下。
- イントロダクション
- ChatGPTの設計
- ChatGPTの応用分野
- ChatGPTの将来性
- まとめ
「ChatGPTとは何か」「モデルの構造、学習方法、トレーニングデータについて」「応用分野での利用例」など、それぞれの項目について、小節が箇条書きで出力され、ChatGPTがモデルとして階層構造を持った知識体系を持っていることがうかがえます。
ChatGPTに構成を出力させるというところが、今回の実験で一番気に入っているポイントで、今後も積極的にChatGPTに肩代わりさせたい。
冗長
以下のような似て非なるテキストが複数出現しました。
- ChatGPTは、GPT-3.5アーキテクチャに基づいて設計された自然言語処理のモデルです。
- ChatGPTは、GPT-3.5アーキテクチャをベースに設計されています。
- ChatGPTのモデルの構造は、GPT-3.5アーキテクチャをベースにしています。
- このアーキテクチャ(注:GPT-3.5のことを指している)は、多層のトランスフォーマー(Transformer)を用いた事前学習モデル
- GPT-3.5は、多層のトランスフォーマーを用いたモデル
十分に長いとは言え、このくらいのテキストの中で、ここまで似ている文章が出てくると、人間としては読みづらいし、まともな人間なら書かない文章に見えます。
ただし、完全に同じ表現ではないところはよく出来ていると感じました。これは前後の文脈をそれなりに理解している(ように見える仕組みになっている)んだと思います。
あと、上で褒めた構成なんですけど、例えば「3. ChatGPTの応用分野」において、「応用分野」と「利用例」という概念が似たセクションを生成してしまったため、その説明の中で、
応用分野 | 利用例 |
---|---|
対話システム | チャットボット |
自動翻訳 | 翻訳 |
文章生成 | 文章生成 |
要約生成 | 自然言語処理(ニュース記事の要約) |
という似た内容の説明を生成してしまっています。
そもそも応用分野には「要約生成」「自動要約記事の作成」という非常に似た概念のセクションを2つ生成しており、それぞれはそれっぽい文章なのに、全体で見るとチグハグという、AIが生成した文章っぽさがまだ感じられます。
この辺は最新のGPT-4で改善しているのかもしれません。
退屈
このような冗長さもあってか、全体的には退屈な文章に感じます。
まぁ、このくらいの退屈な文章は人間様でも得意にしている人がいるので、その点においては、AIが人間に追いついたと言っても良いかもしれません。
嘘
今回の生成文書では、
ChatGPTは現在、英語を中心に訓練されていますが、今後はより多様な言語に対応することが求められます。例えば、中国語、スペイン語、フランス語、日本語など。
の部分が明らかな嘘になると思います。
現在、おそらく、中国語、スペイン語、フランス語、日本語に対応しているでしょう。これは、ChatGPTが2021年までのデータで学習しているからだと思われます。学習当時は、これらの言語は確かに非対応だったのでしょう。
ChatGPTの学習期間はいつですか。
ChatGPTの学習期間は公式には明らかにされていませんが、一般的には2020年後半から2021年にかけて行われたと考えられています。ただし、OpenAIは常にデータやアルゴリズムの改善を行っているため、学習は現在も続いている可能性があります。
これをもって「ChatGPTは嘘つき」と言うのはちょっと酷な気もするのですが、明らかにめちゃくちゃな嘘をさも本当のようにそれらしく回答することもあります。こんな感じ。
ビートたけしのギャグを教えてください。
ビートたけしは、多彩なギャグやユーモアを持つ芸人・タレントですが、代表的なギャグとしては以下のものがあります。
- 「だが断る!」:自分に無理強いされたくないときに言うセリフで、『ビートたけしのTVタックル』などの番組で広く知られるようになりました。
- 「あかーん!もうかりまっか!」:ビートたけしの出身地である北海道の方言で、失敗ややり直しを意味する「あかん」を強調して使い、その後に成功や成果を表す「もうかりまっか」をつけるというものです。
- 「それで?」:相手の話がつまらないと感じたときに、適当に返すフレーズとして使われます。
などがあります。
「だが断る」は岸辺露伴のギャグだし(ギャグじゃねーよ)、ビートたけしは北海道じゃなくて足立区出身だし、関西弁じゃないし、「それで?」に関してはもはや何がなんだか…。
呼吸するように嘘をつく様子は、サイコパスっぽくて、ある意味人間味があるようにも感じますが。
まとめ
いかがだったでしょうか。
少し詳細に見ていくと、すぐにおかしな点が見つかるという、まだそんなレベルではあるのですが。
テキスト生成器として見ると、大筋ではズレてなさそうな文章を、それなりの構成に沿っていとも簡単に出力する様子はかなり優秀。研究者や教育者、役人、そしてブロガーなどの一部の「あんまり面白くない文書を書くことを生業にしている人たち」を脅かす存在になりそうです。
むしろ文書を書くことを生業にしている人たちは、自身のアウトプットをサポートしてくれる存在として、ChatGPTを積極利用していくのが良いのかもしれません。
世の中にはChatGPT(や、それに類するAI)が生成した文章が溢れ、物書きはChatGPTとの差別化に心を砕き、読み手は目の前の文章が「AIが書いたものなのか、人間か書いたものなのか」を判別しながら(あるいは判別を諦めて)過ごす世界線。
ちょっとした恐怖を感じると同時に、今まさに時代の転換期にいるんじゃないかという興奮を覚えます。
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